パーキンソン病における鍼灸マッサージ:補助療法としての可能性と根拠 袖ケ浦市の訪問鍼灸マッサージ 伊藤リハビリセンター
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袖ケ浦市の訪問鍼灸マッサージ 伊藤リハビリセンターです。
当院では難病や病気の後遺症により自力通院が難しい方を対象に在宅にてリハビリマッサージや鍼灸施術を行なっています。
- パーキンソン病(PD)とは?
パーキンソン病は、ドーパミン神経の変性によって起こる神経変性疾患で、主に以下の症状があります。
- 運動症状:手足の震え(振戦)、筋のこわばり(固縮)、動作が遅くなる(無動)、姿勢の不安定
- 非運動症状:睡眠障害、うつ・不安、自律神経症状、日常生活動作(ADL)の低下
薬物療法は症状の進行を遅らせる効果がありますが、副作用や効果の限界もあります。そのため、補助療法として鍼灸やマッサージに注目が集まっています。
- 鍼灸・マッサージのメカニズムと期待できる効果
鍼灸(針治療)の効果
- 筋緊張の緩和、血流改善、リラクゼーション作用
- ドーパミン神経への保護作用や抗炎症作用が報告されることも
- 睡眠改善や不安症状軽減の可能性がある
マッサージ・手技療法の効果
- 筋緊張緩和、関節可動域の拡大
- 転倒予防や日常生活動作(ADL)の維持
※PD特有の神経変化に対する明確なエビデンスはまだ限定的です。
- エビデンスの現状
- 鍼灸を既存治療と併用した場合、薬物療法単独に比べ症状改善が認められた研究あり(メタ解析・システマティックレビュー)
- 睡眠障害や不安症状に対する小規模臨床試験で改善が確認
- 日本国内でも、歩行速度・歩幅・筋緊張・口腔機能などの改善報告あり
- ただし、多くの研究でサンプル数が少なく、研究デザインにバラツキがあるため、確定的とは言えない
まとめると
鍼灸・マッサージは補助療法として「症状軽減やQOL向上の可能性」があるものの、「PDを治す治療」ではないことを正しく伝える必要があります。
- 施術者向けポイント
- 薬物療法との併用を前提に考える
- 鍼灸・マッサージ単独では効果に限界があるため、薬物治療やリハビリとの併用が望ましい
- 評価方法を決める
- 歩行速度、歩幅、筋緊張、睡眠の質など、改善を測定できる指標を設定
- 施術の継続性
- 多くの改善例は継続的な施術を前提としているため、頻度・期間を計画的に
- 安全性の確認
- 転倒リスクや薬物併用による体調変化に注意
- 患者への説明
- 「改善・軽減・QOL向上の可能性がある」と伝え、過度な期待は避ける
- 今後の展望
- より大規模で質の高い臨床試験の実施
- 施術プロトコルの標準化(使用ツボ、頻度、期間など)
- マッサージ単独の効果検証
- PD患者のQOL向上を目的とした多角的アプローチの実践
まとめ
鍼灸・マッサージはパーキンソン病の補助療法として有望な選択肢です。
現状のエビデンスを理解し、薬物療法やリハビリと組み合わせた実践が、患者さんの生活の質を支えるカギとなります。


